忍者ブログ
  • 2024.03
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.05
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/04/20 23:03 】 |
顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマ:自宅待機命令
顧問弁護士(法律顧問)が扱うテーマをメモしています。

今回扱うテーマは、自宅待機命令についてです。


懲戒処分としての出勤停止とは別に、解雇などの処分をするかについて調査などをするまでの間、就業を禁止する自宅待機の措置をするケースがあります。


この場合のポイントは、①業務命令権の濫用とならないか、②その間の賃金の支払い義務はあるか、です。


①業務命令権の濫用とならないかについて


以下、関連する裁判例の判決文の引用です。


控訴人は、被控訴人において控訴人に対する業務命令として何らかの措置をとる業務上の必要があったとしても、単に営業活動からはずすだけで十分であり、自宅待機まで命ずる必要はなかった旨主張する。しかし、右認定のような、控訴人の男女関係のトラブルが原因で葉書が配布された事態についての控訴人の言動に照らすならば、被控訴人が控訴人を単に営業活動からはずすだけでは業務上の必要を充たすに足りないと考えて自宅待機を命じたのもやむを得ないところというべきであるから、右主張は採用できない。
 さらに、控訴人は、人間は働くことに生きがいを感じるものであるから、本件自宅待機命令は、それにより仕事を奪われ、自宅に軟禁状態にされたことになる控訴人に大きな精神的苦痛を与えるものであるとも主張する。たしかに、右命令が控訴人にある種の精神的苦痛を与える面のあることは否定できないが、それは、右命令を行わなければならなかった前記のような業務上の必要の程度を勘案すると、未だ右命令を違法とするほどの事情とまで解することはできない。


②自宅待機期間の間の賃金の支払い義務はあるかについて


 証人鈴木勇(第二回)、松尾二三夫、中田大三の各証言並びに弁論の全趣旨によると、就業制限とは、懲戒に該当する疑のある行為をなした従業員に対し、懲戒につき決定がなされるまでの期間事情調査の為の証拠湮滅懲戒該当行為の再発並びに事故の発生を防止する目的で使用者の命じる出勤停止で、懲戒未確定期間中の暫定処置であつて本来の性質は懲戒そのものではないことが窺われる。いま、この就業制限の適否について按ずるに、会社が就業規則、労働協約、またはこれに基く覚書において、従業員の就労を拒否しうる場合を定めることは、従業員の就労請求権を認めるか否かにかかわらず、何ら強行規定に違反するものではないが、右就業制限に伴い賃金の支給を零パーセントとすることができるという一般的な規定を設けることは、労働基準法の賃金支払保障の強行規定に反し無効であるというべきである(従来零パーセントの取扱が慣行的になされてきたからといつて有効になるわけでない。)。けだし、使用者が労働者の就労を拒否し、なお賃金債務を免れうる場合は、その就労拒否が使用者の責に帰すべからざる事由に基くときに限定されるのは、民法第五三六条第二項、労働基準法第二六条に照して明白というべく、また右使用者の責に帰すべからざる事由の存否は個々の具体的事情に応じて判定せらるべきものであり、ある従業員に懲戒事由に該当する行為があつたとの疑を生じ、懲戒手続開始の運びに至つたからといつて、会社が就業制限の理由として挙げるような事故発生、不正行為再発、証拠湮滅等のおそれまたは危険性が常に具体的に生じるものとは考えられず、またこれらのおそれまたは危険性は別途にこれを除去する方策もあるのであるから、就業制限を以て使用者のやむをえない処置であり、その責に帰すべからざるものとして賃金債務を免れるものとすることはできないからである。従つて前記労働協約に基く覚書が有効なものとして通用するのは、会社の就業制限がその責に帰すべからざる事由に基くものと認められる場合に限られるのであつて、単に右覚書のみを根拠にして賃金責務の免責を得たものとする、被申請人の主張は採用し難い。そして本件では、改札係(成立に争のない乙第一四号証によつて明らかである)の申請人等が懲戒事由ありとの嫌疑をかけられたことのため事故発生のおそれを生ずるに至つたものと認められる疎明資料もないし、また申請人等において不正行為の嫌疑を受けながらこれを敢行するおそれあることを認めしめる資料もない。さらに証拠湮滅のおそれがあるとしてもそれを防ぐために就業制限を必要とする状態にあつたことを窺わしめる資料もないのであるから、前記就労制限を以て会社の責に帰すべからざる事由に基くものとして賃金債務の支払を拒否することはできないものといわなければならない。



会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。



個人の方で、以上の点につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。


このブログにおいては、法律専門家でない方にも役立ちそうな法律知識を条文知識や裁判例を中心に紹介しています。記事のテーマは特に限定していませんが、筆者が主に企業の顧問弁護士をしているため、企業向けのテーマが多くなると思います。ただ、個人の方の法律問題に関連するテーマについても、最近受ける相談が増加している交通事故(示談や慰謝料)不当解雇の相談、借金の返済の相談、残業代請求、知人や親類が刑事事件で逮捕されたという刑事弁護などを中心に扱う予定です。なお、記事投稿の時には新しい情報でも、その後の法律改正や新判例により古い情報になっている場合がありますし、それなりに気をつけていますが、誤記など不完全な内容があるかもしれませんので、実際に法的問題に直面した会社の方は、その都度顧問弁護士にご相談ください。これから顧問弁護士を探す場合には、費用や取り扱い分野など各法律事務所をよく比較検討することをお勧めします。また、個人の方で、借金の返済の相談不払いの残業代の請求、不当解雇の相談、交通事故(示談や慰謝料)、刑事弁護事件などの問題でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。
 
PR
【2010/05/03 15:56 】 | 顧問弁護士(法律顧問)2
<<前ページ | ホーム | 次ページ>>